専門医の診断!現在進行形の症例をご紹介!/レオ先生の自費診療日記
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これまでの投稿では、最新の論文をベースにした歯内療法に関する知識をご紹介してきました。
今回は少し趣向を変えて、実際に今私が治療に当たっているケースと処置の際に考えていることをリアルタイムで共有できればと思い、投稿にしました。
ぜひ最後までご覧頂き、コメントなど頂けたら嬉しいです!
<症例>
昨年の6月に海外で治療を受けた、左下の奥歯に違和感があるので見てほしいという患者さんが来られました。
左下6:セラミッククラウン装着済
打診痛±、根尖部圧痛ー、プロービング深さ全周3mm以下
歯肉の腫脹、発赤なし
X線写真より
1.冠不適
2.不十分な支台築造(気泡の存在)
3.近心根の中等度の湾曲(30〜45度)
4.根管拡大不足
5.根管充填不十分
6.遠心根の根尖開大
7.病変の下顎管への近接
8.近心根イスムス、遠心根フィンの存在
という問題点が読み解けます。
ここから、診断は
Previously treated、Symptomatic apical periodontitis
という診断名をつけることができ、処置方針としては感染根管治療を適切に行い、補綴処置を行うこととなりました。
根管治療に際しては、
・歯冠部のう蝕を確実に除去
・(特に近心根の)ストレートラインアクセスを適切に
・近心根のイスムスを見つけ、拡大清掃する
・湾曲の先でレッジを作らないようグライドパスを確保しリカピチュレーションを徹底
・遠心根の開大部から根尖孔外より先に溢出しないよう注意
・そのための適切な作業長の設定およびオーバーインスツルメンテーションを防止
・フィンを確実に清掃
・楕円形の根管形成
・疎にならない根管充填
という点に気を付け、レッジの形成などミスをしやすいポイントを事前にしっかりと把握しておいてから治療に取り掛かっていきました。
近心根イスムスの清掃を行っていくと、いわゆるMM(middle mesial)根と呼ばれる3根管目を発見し、拡大形成を行い、遠心根とともに充填しました。
まだ治療直後ですが、病変は縮小傾向にあり、遠心根の透過像は下顎管とも離れてきており、経過良好です。
比較的スタンダードな歯ですが、一つの歯の根管治療でもレントゲンからこのくらいわかることがあり、そしてそれに対処するために考えることが山ほどあることがわかる症例でした。
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