難治性根尖性歯周炎の原因/レオ先生の自費診療日記
上村先生のアカウントはこちら→@leo_dentist_osaka
難治性根尖性歯周炎の原因って知ってますか?
何度治療をしても痛みが引かない
瘻孔が消えない
打診痛が残る
あるいは根管から排膿や滲出液が続く
このような症状が持続する場合、難治性根尖性歯周炎と診断されることが多々あります。
この病態はただ単に「治療をしても治らない」から難治性と呼ばれているもので、実際にはその原因は多岐にわたります。
私がかつて大学病院に勤めていた頃は、この【難治性根尖性歯周炎】と診断された患者さんが、かかりつけ医から「なんとか抜かずに治療をしてほしい」と紹介状を持って来院することが頻繁にありました。
その経験を基に
「なぜ治療が困難となるのか?」
その原因を探る研究にも携わったことがあります。
その研究結果と現在の臨床実感が合致するところが多いので、ぜひ皆様にも知って頂きたいと思います。
通常の根管治療では治らなかった原因は
・根尖が破壊されているもの:約24%
・根管の見落とし:約16%
・拡大不足:約13%
・穿孔:約12%
・フィン、イスムスの残存:約11%
・トランスポーテーション:約9%
・う蝕の残存:約9%
といった結果です。
以前の投稿でご紹介したように、根管形態が破壊されているものは成功率が40%以下といわれているとおり、根尖の破壊はまさに治りにくい代表的な要因と言えます。
現在、私がスマイルデザインクリニックで行っている根管治療はそのほとんどが再根管治療であり、根尖病変を抱えている歯ばかりです。
その中でも特に頻繁に遭遇するのが、根尖の生理的形態が潰れてしまって、ガッタパーチャポイントが根尖孔外に押し出されているケースです。
最近の私の体感では、2,3本に1本は根尖がズボズボなケースな気がします…。
その再治療となると、一塊で充填材が取れればいいですが、そう上手くはいかないことも多々あり、たった1mmにも満たない、場合によっては0.5mmもいかないような非常に小さな充填材のかけらの除去をめぐって、多くの時間を費やすことがよくあります。
もうすでに根尖が破壊されているケースはそのリカバリーをする形になりますが、特に初回治療の場合においては、根尖の生理的形態を保存することが、長期的な成功率を高めてくれる鍵と言えるかもしれません。
このように、今回ご紹介した文献のデータから
・根尖孔をしっかり守り
・根管を見落とすことなく
・細いフィンやイスムスまで十分丁寧に清掃すること
これらが根管治療成功の秘訣と考えています!
穿通したらNi-Tiをとりあえず入れて拡大しておいて、次亜塩素酸でシャシャッと洗って、はい充填!ではなく、私は常にこの3つのポイントを意識して治療に臨んでいます。
少しでも参考になりましたら嬉しいです。