進化する未来の根管治療/レオ先生の自費診療日記
上村先生のアカウントはこちら→@leo_dentist_osaka
こんな経験ありませんか?
・根管の過度な石灰化により、削っても削ってもファイルが入っていかない…
・深すぎるファイバーポストを除去する時に、歯質を削りすぎてしまった…
・そして勢い余って思わず穿孔してしまった…
・一度根管治療したけど症状が改善せず、本当なら歯根端切除術をしたいが、部位や解剖学的制限で抜歯するしかない…
ちょうど今日、私も同じような経験をしました。
歯根の4分の3の深さまでファイバーポストが入っていて、マイクロを使って慎重に除去したものの、思ったより時間もかかり、少し根管壁を削り過ぎてしまいました。
これらの課題を解決するために、近い将来
「ガイデッドエンドドンティクス」
が一般的になるかもしれません。
最近のエンドに関する論文を読むと、よく出てくるワードです。
具体的には、インプラントにおけるガイデッドサージェリーをイメージすると分かりやすいと思います。
大きく分けて2つのアプローチがあります。
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1つ目は、CBCTと口腔内スキャンデータを用いて、根管治療が困難な歯に対して髄腔開拡用の装置を作り、根管へのアクセスを容易にする方法です。
これにより、石灰化した根管を正確に切削し、根尖へのアプローチが可能になります。
また、外科的歯内療法の際にも、大臼歯などの視野の確保が難しい箇所の根尖を正確に切除できるようになります。
2つ目は、X-Guideを用いたインプラント埋入のような、リアルタイムで口腔内画像とレントゲン画像を組み合わせながら、ハンドピースで切削する位置、深さ、角度を3Dで視覚化するダイナミックナビゲーションシステムです。
これを使って、画面上に投影した根管の位置やオペの術野から、切削する位置を正確に決定し、危険な箇所を避けてアプローチすることができます。
とても画期的だと思いませんか?
削る方向を間違えて穿孔してしまう心配や、根尖がオトガイ孔に近いために神経を傷つけるリスクなどが減る可能性が高いです。
もちろん、事前に装置を作成するための時間やガイドを作るコスト、高額なナビゲーション機器が必要ですが、それ以上にエラーの少ない治療を短時間で行えるというメリットがあります。
まだまだ湾曲した根管への対応など課題は残っていますが、これらは未来の根管治療の姿になるかもしれません。
そして、さらにAR技術を用いて、実際の視界にCT画像を重ね合わせることで、根管を透視して中を見ているような治療が10年、20年後には現実になるかもしれません。
最近では光学印象が保険導入され、デジタル技術の応用がこれからの歯科臨床で欠かせないものになっていくでしょう。
未来の根管治療、とても楽しみですね!