第15話 旧時代歯医者「岩下」を徹底解剖! 泥臭く泥水を啜る時代の重要性

第15話

旧時代歯医者「岩下」を徹底解剖!泥臭く泥水を啜る時代の重要性

私は今、新時代歯医者を目指しているが、昔はガッツリ旧時代歯医者だった!

卒業後研修は母校の北大で一年研修した後、大阪に帰ってきた私は補綴に強いクリニックに勤務した。

昼休みは同期のS先生と歯型彫刻や、抜去歯牙でチャンバーオープン、バーティカル根充の練習。

模型にワックスアップなどを行いながら、診療後は技工所に何度も足を運び相談した。

補綴をするには、絶対に矯正の勉強も必要だと気付いた私は1年目から矯正専門医院にバイトにいき、そこで矯正の症例を診まくった。

初診の写真がカルテに挟んでいるので、その写真を見て自分で治療計画を考え、実際に矯正専門医が立てた治療計画を見て答え合わせをする。

自分の思った治療計画と違った場合、なぜそうなったのか専門医の先生に教えてもらう。

それを何百と行い、シミュレーションを繰り返しながら実際の治療経過と照らし合わして自分の想像とのズレを修正していく。
どれほど勉強になるか!
 
私の治療技術の習得方法は、先ずは本を読んで知識で頭をパンパンにした後は勉強会に行きながら、実践を踏まえ上の先生方の経験を自分の中に落とし込む。

若手がどうしようもないのは経験である。
これは年数や症例が必要なので、教えてもらう内容はそこに集中するのだ。

講師の先生方の失敗や、実際にやっている人しかわからない勘所を聞く。
あとは治癒の経過やトラブル時の対応方法を教えてもらう。
ここら辺は本には載っていない。
勉強会は、知識ではなく上の先生の経験にフォーカスし学ぶのだ。

10年間は年間コースと単発セミナー、学会も行きまくった。
勉強会も月臨会、SJCD、JIADS、ENの会などを重複しながら3-5年で、どんどん卒業し次へと移っていった。(私は勉強会は卒業する物と考えている。中学校や高校と同じ感覚だ)

自分に評価軸がないのに、語る資格はない。
とりあえず、泥臭く、コツコツと勉強しまくる。
上の先生からは「歯好きやなぁ〜」ってずっと言われていた。

歯科医師はまずは技術ありきだ!

分院長をしながら阪大社会人大学院で学位を4年で修了したときは、週1回の平日の休みを大学の授業を受けに行っていた。

休みは3ヶ月に1日ぐらいだった。
大学院4年生の時は、論文作成、学会発表、実験で睡眠不足で咳が止まらず、熱も38〜40度が8ヶ月続いた。

その最中、妻が出産の後、1ヶ月入院してしまい、新生児の娘を2回しか会ったことのない妻のお母さんと育てるという大変さ!
冗談抜きで5年ぐらい寿命が縮んだと思う。

何を言いたいかというと

「効率なんて最初から求められる訳がない」

という事だ。

多くの人はまず

「質→量→スピード」

をやりたがるが最初から質を求めるなんて愚の骨頂!だってわからないんだもん。
無理にきまってる。

そうではなく
ゼロイチの人、すなわち素人が最初に追求するべきは

「スピード→量→質」

まずはスピード感をもって量をこなすのだ。
量からしか質は生まれない。

そこで自分の評価軸を構築する。
そして、最後に質を求める。

まずは、地べたを這いずり回り、泥水を啜りまくるのだ。

今の時代ならオンラインのセミナーもあり、泥水を啜る期間も短くなっている。
うまくやれば卒業7-8年である程度学べる。

まずは、スピード感をもって多くの泥水を啜る。

それが新時代歯医者への近道だ!