根管治療成功の鍵とは?病変サイズと治癒の因果関係/レオ先生の自費診療日記

根管治療成功の鍵とは?病変サイズと治癒の因果関係/レオ先生の自費診療日記



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根管治療の成功率って知ってますか?
患者さんに説明する上でも、大体の数字を知っていると、コンサルテーションでもより説得力が増しますよね。
その上で如何に100%にするのが難しいかというのも伝えることができるものだと思います。

例えば次のようなデータがあります。

・初回治療&病変ないもの:約90%
・初回治療&病変あるもの:約80%

・再治療&根管形態維持&病変ないもの:約90%
・再治療&根管形態維持&病変あるもの:約80%

・再治療&根管破壊されている&病変ないもの:約80%
・再治療&根管破壊されている&病変あるもの:約40%以下

特に最後のケースでは、5回中3回はうまくいかないという厳しい現実があるということになるんですね。

では治療を成功に導くためにはどのような要素が影響を与えるかご存知でしょうか。

これを知っていると、治療の前にレントゲンを見た時により具体的に説明がつくようになると思います!

①透過像のサイズ

根尖部透過像のサイズが5mmを超えてくると成功率が下がるという報告や、大きさによる影響はないという報告がこれまでありました。
後ほど最新の文献結果も紹介します。

②透過像の存在

最初に挙げたように、術前にX線透過像があれば成功率は10%ほど下がると言われています。
私の経験上、再治療をしないといけないけど透過像がない歯というのは、根管内の感染歯質が比較的少ないように思います。
あくまで感覚的ですが。

③根管充填の位置

透過像がある場合、根尖から2mm以内で充填されていると、2mm以上アンダーだったり、オーバーしているものより成功率が高いとされています。
もちろん流派は色々あるかもしれませんが、私個人としては2mm以内の充填を目指しています!
保険の算定で加圧根充を取る際に、ちゃんと根尖まで充填材が入っていないとダメというお話も聞いたことがあります。

④歯冠修復

歯冠修復の質が高いほど根管治療の成功率も高いとされています。辺縁漏洩の問題ですね。

ここまでは肌感覚的にも多分そうだろうと思われる方がたくさんいらっしゃるかと思います。

2024年最新の論文では、オーバー充填、術前の病変に加えて【病変のサイズが10mmを超えるもの】【治療回数が多いもの】は結果に悪影響があるという報告もされています。

病変サイズに関しては、5mm未満の歯は10mm以上の歯よりも5倍成功率が違うというデータがあります。
病変が大きいと治らなそうな気はなんとなくしますが、5倍も違うとは驚きです。

もちろん成功率が低いから失敗するという訳ではなく、やってみたら結果的に治ったという状況も多々あり得ることと思います。

これらの数値や指標が、例えば「これだと成功率が低いし治らなそうだから、抜歯してインプラントにしよう」というように、診断や治療方針に大きく関わるはずです。

この最新の文献結果を踏まえたデータ、知っておいて損はないんじゃないでしょうか!
是非参考にして下さい。

セミナーでは、まだどの教科書にも載っていないこのような最新の文献も踏まえたエビデンスをご紹介できればと思っています。
最後までご覧頂き有難うございました。