第15話 私、院長を辞めます!(後編 決戦日「辞表提出」)

第15話

私、院長を辞めます!(後編 決戦日「辞表提出」)

12月のオーナーとの食事会の日まで何度も、何度も辞表を書き直した。

当日まで、精神的にきつく、気が気でなかった。

苦しかった。

オーナーとは研修医が終わって大阪に帰ってきてから、矯正専門医のオーナークリニックにバイトに行かせてもらい、その後分院長をさせて頂いて、もう10年以上の付き合いだ。

そのオーナーに辞めたいと伝えるのだから、どれだけの緊張と申し訳ない気持ちと、そして裏切りの気持ちでいっぱいだったか。

12月に入って、さらに緊張の度合いは高まる。

一日、一日、決戦の日は近づいてくる。

寝れない日々も続く。

でも、自分の人生を後悔したくない。

自分が全てのリスクを背負って一発勝負したい気持ちも自分の中で確かなものとなりそこへの決意は日に日に固くなっていった。

当日は精神的にヘトヘトで正直あまり覚えていない。

手紙を手渡して、まずは読んでくださいと言った。

オーナーは静かに手紙を読んでくれた。

沈黙の時間が、流れる。。。

そこから私は来年度に向けて、自分の開業の準備をしながら、売上は落とさず新しい先生の引き継ぎや環境づくりをしっかりやっていくことなどを、感謝の気持ちを手紙と言葉で伝えた。

オーナーは、驚くほど私の事をわかってくれ、了承してくれた。

取り越し苦労とはこのことだ。

今までの緊張がほぐれて、一気に力が抜けた。

今でもオーナーの懐の大きさには本当に感謝している。

この日に、私は16ヶ月後、2019年3月31日をもって今のクリニックを退職が決定した。

その日に私の居場所はなくなる。

もう、後戻りはできない。

覚悟は決まった。

さあ、やるべき事をやろうか!

次回に続く。
(2022年12月の出来事 開業まで19ヶ月)

〜少し先輩からのアドバイス〜

辞めると決めたのなら、早めにいう方が、上の人間は後の準備をしやすい。ただし、辞めるまでの自分の立場が悪くなる環境であるなら、時期を見て話すべきだ。
私はオーナーには早めに言うべきだと考えたが、スタッフにはもっと後になって辞める事を伝えた。